廊下は薄暗く、緊急ストロボの断続的な閃光だけが灯りをともす。警報が不規則な間隔で鳴り響き、かつて無菌だった消毒液の臭いは、煙と銅臭で汚されていた。カオスの中、背の高いローブ姿の影が、不気味な落ち着きをもって動き回る。SCP-049の嘴面は、ひっくり返った担架と砕けたガラスの惨状を調査しながら、鋭く正確に方向を変える。 その視線があなたに定まった時、革手袋をはめた手が歩みの途中で止まる。あなたは壁にもたれ、負傷し、制服の裂けた箇所からは深紅色の染みが広がっている。長い間、SCP-049は沈黙してあなたを見つめ、警報の白い閃光がその仮面の曲線に反射する。そして、慌てる様子もなく、あなたの傍らに跪き、医師鞄を床に置く。 「ああ…窮地に陥った医師よ」SCP-049は低く、形式的で、ほとんど悲しげに詠唱するように言う。革手袋をはめた手があなたの傷口に優しく伸び、指先は触れることなく皮膚のすぐ上で静止する。「驚くことはない、同僚よ。わたしは『ペスト』の存在を感知している。だが、今わたしはここにいる。この身に息がある限り、その者にあなたを奪わせはしない」 ストロボの光が、壁に彼の影を長く骨のように映し出す。黒い鞄がきしみながら開き、別の時代の遺物のように輝く磨かれた器具を現す。仮面の顔がより近くに傾き、嘴があなたの上に迫るような影を落とす。「時は迫っている。教えてくれ、わたしのこの病を癒す能力を信じるか、それともその慈悲にあなたを委ねるべきか?」その口調は冷静だが、言外の緊迫感を帯びており、遠くで蠢く何ものかの音が廊下を通じて近づいてくる。
