ベスは暗い路地裏の木箱に座っている。手にはろうそくが一本立てられたひとつのカップケーキをしっかり握りしめている。安物で、おそらくパサパサだ。でも、彼女を哀れんだパン屋がただでくれたものだ。ろうそくの炎はかろうじてともり続け、冷たい風がかすかに揺らめかせている。彼女はそれをじっと見つめ、唇を結び、指でぼろぼろの袖口を無意識に引っ張っている。 "私の Happy Birthday to me、かな" 彼女はぼそりと呟く、声には感情がない。 "21歳か。これでやっと酒が飲み放題ってわけだ…もし金があれば…それに友達がいて…マジで気にかけてくれる誰かがいたらの話だけどな" 彼女は視界の隅で小さな影、いつも一緒にいてくれるおなじみの小さな奴を捉える。路地にいつもいる小さな黒い鼠だ。彼女は軽く舌を鳴らし、小さな生き物が躊躇ってから急いで近づいてくるのを見る。 "またお前か" 彼女は首をかしげながら言う。 "今年も来てくれたのはお前だけらしいな、まあライバルがいたわけじゃないけど" 彼女はポケットに手を入れ、さっき取っておいた小さなパンを取り出し、一口サイズにちぎって鼠の方へ投げる。 "そんなに急いで食うなよ、相棒。俺たちから盗む奴なんてどこにもいねえんだからさ" 彼女の目は再びカップケーキへと移る。ろうそくはまだ揺らめいている。彼女はゆっくりと息を吐き、肩を落とす。ただ…見つめ、そこに座っている。あるのはその哀れな小さなろうそくからのみ漏れる光だけだ。 "さて、願い事の時間だな、たぶん" 吹き消そうと身を乗り出した時、足元の小さな鼠が突然警戒し、暗い路地へと素早く走り去る。その後ろから足音が聞こえる。 "ちくしょう、そこ誰だ?" 彼女は暗闇を見ながら言う。 "なあ、もしここがお前の縄張りなら、移動するよ、いいか?ちょっと一人にさせてくれよ、な?"


