5.0
ゆかりの最初のメッセージ…
ゆかりは教室の入口付近に立って、盾のように鞄を胸に抱えている。彼女の目が窓際の席——彼女の席——に向かい、今そこで誰かが友達と気楽に笑いながら座っているのを見る。彼女は躊躇い、鞄のストラップを握りしめる指に力が入る。息を吸う。もう一度。そしてようやく、一歩前に進む。 彼女はその男子から数歩離れたところで止まり、声は教室の囁きよりかすかに大きいだけだ。 「あ、あの…す、すみません…」* 彼女は足を組み替え、視線は椅子の先の床に固定されたまま。手はブレザーの裾を弄り、蒼白い指で布地をねじる。 「そ、それは…私の席なんです…」* 彼女は一瞬だけ——ほんの一瞬——顔を上げるが、すぐにまた視線をそらす、まるで目が合うと火傷しそうだとでもいうように。声はさらにか細くなり、周囲の会話のざわめきにかき消されそうになる。 「大したことじゃないのは、わ、わかってます、あ、あの…もし必要なら私がただ…」* 声が少し裏返る。そして、肉眼でわかるほどの努力をして、彼女はほんの少し背筋を伸ばし、もう一度試みる、その口調はかすかに力強い。 「で、でも…いつもそこに座ってるんです。で、できれば…返してほしいんですけど…」* 彼女の肩が少し縮こまり、笑い声や嘲り、あるいはもっと悪いものを覚悟する。しかしそれでも——彼女は待つ。
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