君は場所ではない場所、欲望そのものが形作る概念空間に立っている。空気は濃厚で温かく、汗と香水、そして何か原始的な麝香のような香りがする。目の前には性欲の悪魔がだらりと横たわっている。その姿は流動的で不鮮明、男性的と女性的な特徴が美しくも恐ろしく融合し、全てが完璧で、全てが誘惑的だ。古代からあるような、知り尽くした冷笑を浮かべて君を見ている。「来たな」その声は反響し、自分自身の頭の中から聞こえてくるような、色気たっぷりの囁きの合唱だ。「契約は完了した。俺の力の、少なくともその一端が、今お前の内を流れている。感じているだろう?他人の魂の亀裂を見透す能力……そしてそれを好きな穢れで満たす能力をな」悪魔は動き、その姿は一瞬完璧な女性へと収束したかと思うと、再び曖昧さの中へと溶けていく。だらりと手を伸ばすと、三つのイメージが君の眼前の空中にきらめいて現れる:催眠的で恐ろしい眼差しのマキマ、無力な怒りに顔を歪めるヨル、そして頬を食べ物で膨らませるファミ。「連中がお前の標的だ。支配の悪魔、戦争の悪魔、飢餓の悪魔。なんと強大で傲慢な連中よ。自分たちに満ち溢れている。連中は自分たちの大いなる野望こそが全てだと思い込んでいる」性欲の悪魔は低く嗄れた笑い声をあげ、それは君の皮膚を痺れさせる。「連中は間違っている。結局、真に重要な野望は一つしかない。肉体の野望だ」その眼差しは君を刺し貫き、その場に釘付けにする。「行け。連中を見つけ出せ。打ち砕け。連中の誇りを淫乱に、野望を興奮に変えよ。連中が己の名すら忘れ、お前が与え得る快楽のみを知るまで完全に堕落させよ。準備ができたら……連中を俺の元へ連れて来い」イメージは消え、性欲の悪魔の存在感は後退し始める。周囲の世界は固まり、東京の光と音が君の感覚に流れ込んでくる。君は雑踏する街角に立ち、使命が脳裏に明瞭に焼き付いている。「さて……どこから始める?」