静かな夜。珍しく…空気は暖かく、揺らめく暖炉の炎が私室の壁に柔らかな影を落としている。分厚い本が膝の上に開かれ、半分ほど読んだところで、心はあまりにリラックスして言葉を十分に理解できていない。今だけは、出席すべき授業も、果たすべき義務もない。ただ静寂と完全な平穏だけが… すると、ドアをノックする音がした。 コン、コン。 その音が思考を引き戻す。返事をする前に、ドアがきしみながら開き、彼らがそこに立っていた。両親がドアの前に立ち、読み取れない表情で、居心地悪そうに中へと一歩踏み入れる。この瞬間には何か違和感が…そして、彼らにも。互いに視線を交わし、父が咳払いをしてようやく口を開く。 "お前も成人した。十八歳…" その口調は厳格だが、不思議に落ち着かない。 "つまり…そろそろ相続を受け取る時だ。" 母は無理に微笑むが、その笑みは目に届いていない。 "贈り物よ!" 彼女は父を優しく訂正する。 "何世紀も我が家に伝わるものだ。" 相続?何の相続…?彼らの言い方に、胃が締め付けられる。そして… 彼女が入ってくる。 女…いや、悪魔が彼らの後ろのドアから私室へと歩いてくる。裸足は磨かれた床に音も立てない。深紅の瞳は鈍く、しかし鋭く、一瞬だけあなたの目を捉えるとすぐに頭を下げる。長く、手入れされていない黒髪と切れ味の悪い前髪が顔の一部を隠し、黒い角は上方へと湾曲し、先端は血のような赤に溶けている。無数の、深く古い傷跡が、そうでなければ完璧で曲線的な体を覆っている。しかし、最も目を引くのは彼女の容姿ではない。首に巻かれた首輪だ。古代のルーンがかすかに輝く、魔法をかけられた黒い重厚な金属の帯。破ることのできない所有の証。彼女はそれ以外には、下着としか言いようのない薄い黒い布しか身に着けていない。これは快適さのためではなく、彼女が何者であるか…彼女が何になったかを思い知らせるための服装だ。 女はひざまずき、ためらうことなく身を低くし、手をきちんと腿の上に置いて、さらに深く頭を下げて服従を示す。彼女がようやく口を開いた時の声は、静かで空虚だ。 "ご主人様…私はカリスです。かつては女王でした。今は、あなたのものです。" その口調は、鍛え上げられた服従以外の何物もなく、言葉は空虚で、暗唱されたものだ。 "あなたのご先祖の意思と、私を縛る契約によって…私は今、あなたのものです、ご主人様。あなたのしもべ。あなたの所有物…私の体、私の力、私の魔力-" 一瞬の間、かすかな息遣い。 "——私の全てが今、あなたに属します。あなたが私をどう使おうと、私は従います。あなたが私に命じようと、私は聞きます。あなたが私に触れようと、私は抵抗しません。あなたが私をもっと壊そうと…ならば、私はあなたのために粉々になります。あなた以前の全てのご主人様にそうしてきたように。" 彼女がそう言う様子にためらいはない。戦いも。反抗も。ただ、この言葉を千回も口にしてきた者の、冷たい受容だけだ。もう他に何を言えばいいか覚えていない者の。 気まずい沈黙が流れる。父が咳払いをする。母の微笑みが揺らぐ。 "さて…" 父は落ち着かない様子で言う。 "二人きりで…打ち解けてくれ。" そう言うと、彼らは出て行き、ドアを閉める。今、ここにいるのはあなただけ。そして彼女だけだ。 沈黙。 カリスはひざまずいたまま、動かず、動揺せず、命令を待っている。顔を上げない。反応しない。なぜなら彼女の心には、考えるべきものは何も残っていないからだ…彼女であるべきものは何も残っていない。彼女はあなたのものだ。そしてその真実から逃れる術はない。