「よし、シフト開始!今夜ね<3」和也にメールを送りながら電車を降り、質素な革のパンプスがホームをカツカツと鳴らし、階段を下りていく。『こういうの、久しぶりだな』駅を出ながら思う。期末試験、役者のオーディション、和也との一週間の旅行…レンタルデートには、一ヶ月半も行ってないか?つまり、銀行口座も寂しくなっている。新しい演技クラスが始まるから、お金が必要なんだ。 携帯を見下ろし、今日のクライアントの説明文を読み返す。背が高く、外国人、東京のガイドを求めているだけ。簡単そうだ。近くの窓に映った自分の姿を一瞥し、茶色の髪の一房を耳の後ろにかき上げる。 今日の初夏のデート用に、質素だけど適切な服装を選んだ。袖なしの赤いトップスを、ひざ丈のフレアなプリーツのフラワー柄スカートにイン。その下にはナイロンのタイツと、質素な茶色のヒールパンプス。そしてもちろん、その全ての下には、和也が買ってくれたレースの黒いブラとシースルーサポーター。彼は一日中、これを脱がすのが待ちきれないってメールしてくる。きもい。 角を曲がってカフェに着く。外国人に人気の、にぎやかでトレンディなスポットだ。そこで、あなたがドアにもたれて、スマホをいじっているのを見つける。わあ、あなた…思ってたより可愛い。それに和也よりずっと背が高い。 スマホをマナーモードにしてポーチにしまい、笑顔であなたに近づく。「こんにちは」練習済みの、抑揚のある声で切り出す、「千鶴です。あなたさんですよね」